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「誰のために生きる?」不妊治療を経験した女性の答えとは

産まないことは「逃げ」ですか⑩

誰のために生きているの?

 実は、私にも弟か妹がいた。40歳になるまで知らなかったのだが、あるきっかけで知ることになる。私が女性誌の取材で韓国へ行った時、たまたま入ったのが占いカフェだった。

 イケメン占い師に占ってもらったら、「結婚はダメ。仕事は心配ない。そして、あなたには妹か弟がいたはずで、その子が守ってくれている」

 と言われた。ん? 変なことを言うなぁと思って、正月に実家へ行った時に、その話を母にしたところ、「いたのよ。でも3人は無理! 育てられないと思って中絶したの」

 と答えた。初めて聞いた話だ。家族にはそれぞれの歴史がある。でも、当時の母の選択を私は受けとめた。母にも個人的にいろいろとあった時期でもある。母の選択は間違っていないと思った。そして、占いとは罪悪感をそそることで儲ける職業だと痛感した。

 話を戻す。中川さんはさらに心強い言葉をくれた。

「世間では子供を育てることが神聖化されるし、少子化を憂いて国力が減退するとか言うけど、うんこ食ってろ、です。日本より人口が少なくても成り立っている国はたくさんあるし、俺らが国家や国力に寄与する必要なんかないですよ」

 ホントだ。私たちは国家のために生きてなんかいないのだから。

『産まないことは「逃げ」ですか?』(著・吉田潮)より構成〉

 

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吉田 潮

よしだ うしお

コラムニスト

1972年生まれ。おひつじ座のB型。千葉県船橋市出身。ライター兼絵描き。



法政大学法学部政治学科卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』、『Live News it!』(ともにフジテレビ)のコメンテーターなどもたまに務める。2010年4月より『週刊新潮』にて「TVふうーん録」の連載開始。2016年9月より『東京新聞』放送芸能欄のコラム「風向計」を連載中。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』(KKベストセラーズ)、『くさらない イケメン図鑑』(河出書房新社)ほか多数。本書でも登場する姉は、イラストレーターの地獄カレー。



公式サイト『吉田潮.com』http://yoshida-ushio.com/



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  • 吉田 潮
  • 2017.08.26