「誰のために生きる?」不妊治療を経験した女性の答えとは
産まないことは「逃げ」ですか⑩
誰のために生きているの?
実は、私にも弟か妹がいた。40歳になるまで知らなかったのだが、あるきっかけで知ることになる。私が女性誌の取材で韓国へ行った時、たまたま入ったのが占いカフェだった。
イケメン占い師に占ってもらったら、「結婚はダメ。仕事は心配ない。そして、あなたには妹か弟がいたはずで、その子が守ってくれている」
と言われた。ん? 変なことを言うなぁと思って、正月に実家へ行った時に、その話を母にしたところ、「いたのよ。でも3人は無理! 育てられないと思って中絶したの」
と答えた。初めて聞いた話だ。家族にはそれぞれの歴史がある。でも、当時の母の選択を私は受けとめた。母にも個人的にいろいろとあった時期でもある。母の選択は間違っていないと思った。そして、占いとは罪悪感をそそることで儲ける職業だと痛感した。
話を戻す。中川さんはさらに心強い言葉をくれた。
「世間では子供を育てることが神聖化されるし、少子化を憂いて国力が減退するとか言うけど、うんこ食ってろ、です。日本より人口が少なくても成り立っている国はたくさんあるし、俺らが国家や国力に寄与する必要なんかないですよ」
ホントだ。私たちは国家のために生きてなんかいないのだから。
〈『産まないことは「逃げ」ですか?』(著・吉田潮)より構成〉
- 1
- 2